記帳代行を検討するとき、最初に迷うのは「どこまで任せられるのか」です。結論から言うと、頼める範囲は「記帳代行」という名称では決まらず、事業者様との契約内容で決まります。ただし、税務代理・税務書類の作成・税務相談は税理士業務とされており、記帳代行とは分けて考える必要があります。
この記事では、依頼してから「思っていた範囲と違った」とならないよう、依頼前に確認したい5つの項目、税理士業務との境界、相談から運用開始までの流れを整理します。
記帳代行と経理代行は何が違うのか
「記帳代行」は、領収書や請求書、通帳・カード明細などの資料をもとに、取引を帳簿へ記録する業務を指すことが多い言葉です。「経理代行」は、これに加えて給与計算、支払業務、売上請求など、周辺の経理業務まで頼む場合に使われることがあります。
ただし、名称だけでは含まれる範囲が決まりません。どの業務が含まれ、どの業務が含まれないかを一つずつ確認することが大切です。
- 記帳支援:資料をもとにした記帳、月次の試算表の作成、不明な取引の確認など
- 周辺経理:給与計算、支払業務、売上請求など
- 税理士業務:税務代理、税務書類の作成、税務相談
依頼前に確認したい5つのこと
範囲の確認は、次の5項目に分けて考えると漏れにくくなります。回答は口頭だけで済ませず、見積書や契約書、メールなど、あとから見返せる形で残しておきます。
1. 依頼範囲
どの業務を頼み、どの業務を自社に残すかを決めます。
- 記帳だけか、月次の試算表の作成まで含むか
- 給与計算、支払業務、売上請求などを含むか。含まない場合は別料金か、対象外か
- 記帳の対象にする口座、カード、取引の種類
2. 料金の基準
比べるのは金額の大小より、料金が何で決まり、何が含まれるかです。
- 月額料金は、仕訳数、資料の量、口座数などのどれを基準に決まるか
- 初期設定料など、月額以外の費用があるか
- 月額に含まれる業務と、別途見積もりになる業務の線引き
- 仕訳数が増えたとき、料金がどう変わるか
3. ツールと受け渡し
会計ソフトと資料の共有方法が、毎月の負担を左右します。
- 会計ソフト:いま使っているソフトのまま依頼できるか、事業者様が使うソフトに合わせるか
- 資料の渡し方:共有フォルダ、メール、郵送などのうち、どの方法か
資料の集め方や保管のルールは、依頼を始めたあとの月次運用で効いてきます。その具体的なチェックリストは、こちらの記事で整理しています。
関連記事:月次の経理を早く締めるには?資料回収を効率化するチェックリスト
依頼前の段階では、毎月の資料の締め日と、質問や確認のやり取りに使う連絡手段まで決めておきます。
4. 確認時の役割
資料だけでは判断できない取引が出てくることがあります。
- 不明な取引の確認を、誰が、どの手段で受けるか
- 確認への回答は、いつまでに返す想定か
- 月次の試算表を受け取ったあと、内容を誰が確認するか
5. 成果物と進行
何が、いつ届くかを事前に確認します。
- 毎月届く資料は何か(試算表、総勘定元帳、仕訳日記帳、月次推移表など)
- 資料の締め日、記帳の開始時期、成果物の共有時期
- 年度末に、決算に向けたデータをどの形式で整備してもらえるか
税理士業務との境界
記帳代行を頼む前に、税理士業務との境界も確認しておきます。国税庁の「No.9203 税理士制度について」では、納税者からの依頼を受けて行う税務代理、税務書類の作成および税務相談の業務は、税理士、税理士法人、国税局長に通知をした弁護士および弁護士法人に限られている、と案内されています。
そのため、契約の前に次の点を確認します。
- 依頼する内容に、税務申告の代理、税務書類の作成、税務相談が含まれていないか
- 決算や申告を担当する税理士等がいる場合、記帳したデータをどの形式で受け渡すか
- 個別の取引や申告が税理士業務に当たるか迷うときは、税理士などの専門家に確認する
境界を先に確認しておくと、依頼後に「この業務は対象外だった」という食い違いを避けやすくなります。
相談から運用開始までの流れ
依頼を決めてから運用が回り始めるまでは、次の4段階で整理すると進めやすくなります。
- 現状を相談する:現在の経理を誰が担っているか、毎月の資料の種類、仕訳数のめやす、困っていることを伝えます。使っている会計ソフトや帳簿の状況も整理しておきます。
- 範囲と料金を確認する:先ほどの5項目に沿って、依頼する業務、料金の基準、含まれない業務を確認します。
- 受け渡しのルールを決める:資料の置き場所、締め日、連絡手段、不明な取引の確認方法を決めます。
- 月次の運用を始める:決めたスケジュールで資料を渡し、記帳と成果物の共有を毎月繰り返します。
各段階にかかる期間は、依頼内容や資料の状況によって変わるため、相談の際に確認してください。運用を始めたあとも、締め日や確認の方法が無理なく回っているかを見直し、必要に応じてルールを調整します。
Tracc Freeの記帳代行・経理業務支援
Tracc Freeの記帳代行・経理業務アウトソーシングを、先ほどの5項目に当てはめると次のとおりです。
| 確認項目 | Tracc Freeの場合 |
|---|---|
| 依頼範囲 | 記帳代行と月次試算表の作成です。給与計算代行・支払業務代行・売上請求代行にも対応していますが、記帳代行とは別途のお見積もりです |
| 料金の基準 | 月間の仕訳数が基準です。100仕訳までは月額10,000円(税抜)で、仕訳数に応じて段階的に変わります。初期設定料は5,000円(初回のみ)です。月額には、記帳代行、月次試算表の作成、チャットでの簡易相談が含まれます |
| ツールと受け渡し | マネーフォワード、Google Drive、Chatworkを使った、オンライン完結の運用です |
| 確認時の役割 | 不明な取引は、Chatworkでご確認します |
| 成果物と進行 | 月初〜10日に、領収書・請求書・通帳コピー・カード明細などをGoogle Driveの指定フォルダへ格納いただき、11日以降に記帳します。月次に、試算表(貸借対照表・損益計算書)、総勘定元帳、仕訳日記帳、月次推移表をご提供します |
税務申告そのものは業務範囲に含みません。年度末は、提携税理士へ受け渡せる形式でデータを整備します。
料金表の全体や最新の内容は、経理業務アウトソーシングのページで確認できます。
まとめと無料相談
記帳代行は、名称だけでは頼める範囲が分かりません。依頼範囲、料金の基準、ツールと受け渡し、確認時の役割、成果物と進行の5項目を依頼前に確認し、税務代理・税務書類の作成・税務相談が税理士業務とされている点も押さえておくと、依頼後の食い違いを避けやすくなります。
「何から頼めばよいか分からない」「いまの資料の渡し方で任せられるか知りたい」という段階でも、ご相談いただけます。
税理士業務の範囲は、国税庁「No.9203 税理士制度について」(令和8年4月1日現在法令等)で確認できます。Tracc Freeの料金や運用内容は2026年10月時点のもので、変更される場合があります。